【1】禁断の果実 ヴラド×リンネ BACK | INDEX | NEXT |
魔界にあるとある森。 その中心部には常に水が湧き出ている綺麗な泉がある。 そのほとりには紅い実のなる木が一本、大きく枝を広げしっかりと地面に根を下ろしている。 その紅い実は、ツヤツヤと光沢があって人間界で言う林檎のような見た目をしている。 一年中朽ちる事無くその実は木になっており、甘酸っぱい匂いを辺りに漂わせている。 匂いにつられ、その実を口にした者は、たちまち理性を失い獣のような振る舞いをするようになる。 中には命を落とす者まで居るという。 故に、この実を『禁断の果実』とし、幾ら美味しそうな匂いをしても口にする者など今では誰一人として居なかった。 「ヴラドさん、この川ってドコから来てるんですか?」 森を流れる緩やかな流れの川を上流へと遡りながら、リンネは隣に居るヴラドへと話しかけた。 瞳をキラキラと輝かせ、無邪気に聞いてくるリンネを愛しそうに見下ろした後、前方へと顔を向けた。 「森の中心だ。そこには泉があって湧き出た水が流れてきてるんだ」 「湧き水、ですかぁ…凄い量の水が湧き出ているんですねぇ。あっ!私、その泉見てみたいです」 ヴラドの服の裾を引張り、そう言うリンネの頭をポンと叩くと頷いた。 「あぁ、いいぜ。魔界見学ツアーだし?好きなもん見たらいい」 そう言うヴラドに嬉しそうに笑って、手を引いてちょっと足早に泉へと向かった。 ヴラドとリンネは今、『魔界見学ツアー』なるものを決行していた。 魔界に来て色々と忙しかった二人は、やっと暇を見つけることが出来たのだ。 そこでリンネが思い立ったのが『魔界見学ツアー』である。 初めて訪れた魔界を見て回りたいというのがリンネの提案だった。 瞬間移動を使わず歩いて各地を見て回る。それが今回のコンセプトであった。 暫く歩くと、前方を塞いでいた木々が途切れ、目的の泉が見えた。 湖と言うほど広くは無いが、リンネが想像していたよりもはるかに広い泉であった。 「うわぁ…綺麗ですねぇ〜」 泉の水面が日に当り、キラキラとしている。 思わず小走りで駆け寄って、水面を覗き込んだ。 綺麗過ぎるせいか、生き物一つ居ない泉は、透明に澄んでいて決して深くない泉のそこまで見ることが出来た。 「魔界って綺麗なところなんですねぇ。太陽はあるし、綺麗な泉はあるし…もっとくらぁいところなんだって思ってましたよ?」 泉のほとりに座り込んで後ろのヴラドを見ると、近くの木の根元に座り込んで背を幹に預けていた。 「まぁな。案外、人間界の方が汚れてるかもしれねぇな」 「そうですねぇ」 リンネが頷くと、ヴラドは瞳を閉じてしまった。 寝るつもりはないのだろうが、リンネと一緒に泉を楽しむつもりはないらしい。 リンネが泉の周りを見渡していると、近くに紅い実のなる木がある事に気づいた。 立ち上がって、その木の下まで行くと上を見上げた。 「大きな木ですねぇ…それに…凄く、いい匂い…」 リンネは匂いに誘われるように、紅い実へと手を伸ばした。 実は簡単にもぎ取れ、リンネの手中へと納まった。 「ヴラドさぁ〜ん!これって、食べられるんですかぁ??」 大きな声を上げてヴラドへ話しかけてみるが、聞こえていないのかヴラドからは何の返答もない。 「…これだけ美味しそうな匂いがしてるのですから、食べられますよね?」 じっと実を見つめた後、泉の水で紅い実を洗った。 木の幹に凭れて瞳を閉じていたヴラドは、リンネに呼ばれたような気がして瞼を開けた。 目の前の泉に居るのだと思っていたリンネの姿が見当たらずに立ち上がってあたりを見渡した。 すると、紅い実のなる木の下にリンネが居るのが目に入った。 「っ…!?リンネッ!!それを喰うな!!」 叫びながら慌てて傍へと駆け寄るが、時既に遅し。 リンネは既に半分ぐらい紅い実を食べてしまっていた。 「?ヴラドさん、どうしたんですか?慌てちゃって…」 「リンネッ…何とも、無いのか?」 駆け寄ってきたヴラドの姿にキョトンとした表情で首を傾げる。 そんなリンネの様子に、ヴラドはホッと息を吐き出した。 ―――何とも無いのは、リンネが人間だからか?それとも、リンネの身体のお陰なのか… そんな事をヴラドが考えていると、突然リンネがクスクスと笑い出した。 「!やっぱり、実を喰ったせいで?!」 驚いたヴラドはリンネの両肩を掴んで顔を覗き込んだ。 リンネの顔は心なしか紅潮し、瞳も潤んでいて焦点が合ってないようにも思える。 「リンネ、大丈夫か?…ッ」 何とか視線を合わせようとしたヴラドの唇をリンネが突然塞いだ。 いつもと違う大胆な行動に、ヴラドはただ驚くばかりだ。 「うふふっ…ヴラドさぁん…」 トロンとした瞳を向けて、ヴラドの首に腕を絡めてきた。 「……もしかして、酔っ払ってるのか…?」 リンネの行動と表情にヴラドは一つの回答を導き出した。 若干身体がユラユラと揺れていて、瞳は潤んでいる。そして頬は紅潮し僅かに熱を帯びている。 その状況から考えられるのは、酔っているという事だった。 「酔っ払ってなんて、ないれすよぉ…」 そう言っている傍から既に呂律が回っていない。 酔っ払っているのだろうと言う事は火を見るより明らかだった。 ヴラドから離れたリンネはおもむろにプチプチとシャツのボタンを外し出した。 これに慌てたのはヴラドだ。突然服を脱ぎ始めれば誰だって慌てるだろう。 「おい、リンネ。何やってる」 「らぁって、暑いんれすよぉ…」 そう言いながらもボタンを外す指は止まらず、とうとうその白い肌、豊かな胸がヴラドの前に晒された。 思わずヴラドはゴクリとツバを飲み込んだ。 「…って、おい。何で俺の服も脱がすんだ?」 「うふふっ…いいらないれすかぁ…」 ボタンではなくファスナーであるヴラドの服はいとも簡単に前を肌蹴させられてしまった。 そして、リンネは現われた褐色の肌にチュっとキスを幾つも落としていく。 「リンネ…俺を襲う気か?」 くすぐったそうに片眉をしかめながら、ヴラドは冗談交じりでそう言った。 「そうれすよぉ…ヴラドさんを襲うのれす」 にっこりと笑みを浮かべてそう言うと、再びヴラドの肌に吸い付いた。 「うぅ〜ん?ヴラドさんの肌、れんれん痕が付かないれすねぇ??」 「ィッ」 リンネは首を傾げながらも、ヴラドの肌に噛み付いた。 くっきりと肌に残されたのは、キスマークではなく歯型だ。 「リーンーネーぇぇぇ…」 恨めしそうな声を上げると、リンネの両手を掴んで幹へ縫い付けるように押さえつけた。 「この俺が、お前に主導権渡すわけねぇだろ?歯型の落とし前は、きっちり付けてもらわねぇとな?」 ニヤリと口端を上げるようにして笑みを浮かべると、噛み付くようにリンネの唇を塞いだ。 「んっ…」 薄く開いた唇の隙間から舌を差し入れ、リンネのそれを絡め取る。 きつく吸い上げ、舌先で優しく撫で、思うが侭に口内を蹂躙する。 リンネからは切ないような甘い声が漏れ、与えられる愛撫に応えていく。 「可愛らしい声漏らしちゃって…そんなにイイか?」 「ん…もっと…」 「もっと、ね…普段もそうやって可愛くねだれば良いんだけどな」 クっと喉を鳴らして呟くと、リンネの白い肌に紅い痕を散らしながら二つの膨らみへとキスを落としていった。 既に硬く尖っている先端を口に含みながら、下肢へと手を伸ばす。 下着で隠された秘所を上からなぞると既にしっとりとしていて、クチュリと卑猥な音が聞こえた。 下着の隙間から指を差し入れて直に触れると、熱い蜜が中から溢れ出ていてヴラドの指を濡らした。 「ココ、こんなに濡れてどうしたの?」 溝を指で擦り上げ、クチュクチュとわざと音を立てながら、小さい子にでも言うかのような口調でリンネに言う。 「んっ…濡れてなんて、無いれす…」 ピクンと身体を震わせながら、リンネは緩く首を振った。 「へぇ?じゃぁ、これは何だ?」 下着から手を抜き取ると、蜜のついた指をリンネの前にかざす。 リンネに見せ付けるかのようにその指に付いた蜜を舐め取った。 「うーん?なんれしょう?」 本気で言っているのか、冗談で言っているのか。 そんな事を言うリンネに思わず苦笑を漏らした。 「何時まで、そんな事言ってられるか…見せて貰おうか?」 ニィっと笑みを浮かべたかと思うと、ヴラドはリンネの下着に手を掛け一気にそれを取り去ってしまった。 胸の先端を口に含み、舌で転がし時には軽く甘噛みする。 秘所へと伸びた指は、敏感な小さな突起を指の腹で撫で上げる。 「ぁっ…ん・っ…」 リンネから甘い声が漏れ、中からも熱い蜜がどんどんと溢れ出してくる。 蜜の滑りを借りて、中へと指を進入させる。 クチュリと音がして、さらに蜜が外へと押し出された。 「ひゃ…あぁ…ヴラドさ…」 クチュクチュと卑猥な水音を響かせて、指を激しく動かし中の感じる部分を執拗に攻め立てる。 反射的にリンネがヴラドの指を締め付けてくる。 「こんなにヤラシイ音させて…これでも濡れてないって言うのか?」 耳朶を甘噛みしながら、吐息を吹きかけるように囁きかける。 それすらも刺激になるのか、リンネはブルリと身体を振るわせた。 「ぁんっ…ヴラドさ…も、欲しいれす…」 ヴラドの言葉には返事はせず…というより、刺激で脳まで言葉が達していないのかもしれないが…ヴラドの首に腕を回して、チュっと小さく音を立ててキスをした。 「…ったく、しょうがねぇ奴だな…」 そう言いながらも、ズボンの前を寛がせるとリンネの両足を抱え上げ一気に熱い猛りを進入させた。 「ひゃぁぁんっ!」 奥まで一気に質量のあるものが中へと入ってきて、思わず高い声を上げてヴラドにしがみ付く。 「落とされないように、しがみ付いとけよ?」 そう言うヴラドに頷いて、ギュっとシャツを握り締めた。 木の幹に背中を預けるようにして、身体は持ち上げられ宙に浮いた状態。 リンネのほぼ全体重がかかり、いつもより深いところまで入り込んでいる気がする。 「たまには…こういう体勢も悪くねぇな」 口端を舐め、ニヤリと笑みを浮かべるとゆっくりとリンネを揺さぶり始めた。 「んっ…あぁっ…」 「リンネ…」 激しく下から突き上げ、結合部から卑猥な水音が響く。 リンネからは切り無く甘い声が漏れ、頬が紅潮していく。 「ぁん…ゃぁ…」 暫くこの体勢を楽しんだ後、不意にヴラドはリンネの中から抜け出した。 思わずリンネの口からは嫌がるような言葉が漏れる。 「ばぁか。このままで終わりにするかっての…後ろ向いて、木に手を突けよ。さっきのじゃ、やっぱ動き難いからな」 チュっとキスをされながら、そう囁かれてリンネは頷いて言われたとおりに後ろを向いた。 「んんっ…はぅんっ…」 先ほどよりも大きく感じる猛りが中へと入ってくる。 思わず幹にしがみ付くようにして、眉を寄せた。 グラインドするように円を描き、ゆっくりと奥へと入ってくる。 そんな動きに焦れたのか、それとも無意識なのか。 リンネの腰が僅かに揺れた。 「もっと激しくして欲しいか?」 ヴラドがそう言うとリンネはコクリと頷いた。 ソレとともにヴラドはリンネの腰を掴むと、奥へと付きたてた。 激しく注挿を繰り返し、後ろから被さるようにリンネを抱き締める。 律動で揺れている胸を包み込み、優しく揉み愛撫する。 「あんっ…はっ…んぅ…」 「リンネ、イイか?」 「んっ…ヴラドさ…イイ…」 素直に頷くリンネに小さく笑って、更に律動を早めていく。 絡みつく内部に誘われるかのように奥を激しく突き、今度は抜けてしまうのではないかと言うくらいに引き抜いて浅い部分を擦る。 「ヴラドさ…もぉ…っ…」 「まだだ…もう少し…」 そう言いながらも、ヴラドは秘所へと手を伸ばし突起を指で擦り上げる。 ビクンとリンネの腰が揺れ、中が一層狭くなった。 「ヴラドさ…好き…好きです…」 与えられる刺激に身を任せながらも、リンネの口からそう言葉が漏れる。 愛しさが増して、ギュっと抱き締める腕に力を込めた。 「俺も…愛してる」 一層激しく突き上げ、リンネの身体を思うがままに翻弄する。 リンネの中が震えるように絡みつき、そろそろ限界を告げている。 「あっ…あぁ…も、無理…」 「あぁ、俺も…一緒にイクか…」 繋がった部分から、甘い痺れが全身に広がっていく。 「ぁっ、あっ…んぅ…あぁぁぁっん…」 激しく突き上げ、更に敏感な突起を擦った時、リンネは一際高い声を上げた。 ソレとともに中が締まりキツク締め付けられ、ヴラドもまたそれを追うように熱い白濁を吐き出した。 「はぁ…リンネ、大丈夫か?」 中から抜け出し、ぐったりとした様子のリンネの身体を抱き寄せて顔を覗きこむ。 リンネは瞳を閉じていて、声にも反応しない。 どうやら気を失っているようだ。 「……そのうち、目が覚めるだろ」 そう呟いて、リンネの服を整えた。 「……あの。どうして身体がだるいんでしょうか?」 目覚めたリンネが最初に発した言葉はこれだった。 「どうしてって、覚えてないのか?」 「えぇっと…全く覚えてないです」 「…言っとくけど、自分から誘ったんだからな?」 「えぇぇぇぇぇ?!」 驚くリンネにククっと喉を鳴らして笑って、幹に凭れかかって瞳を閉じた。 「少ししたら出発するからな。とりあえず、泉で身体洗ったら?」 「えっと…そうします…」 不思議そうに首を傾げながらも、服を着たまま泉へと足をつけた。 「服を着たまま入るなよ?」 目を閉じているはずのヴラドがそう声を掛ける。 「見ないで下さいね?」 リンネは振り返ってヴラドが瞳を閉じるのを確認すると、服を脱ぎさって泉に全身を沈めた。 「何時も見てんだから今更なぁ…?」 とは呟くものの、後が煩そうなので取り合えず瞳は閉じておく事にする。 「今度、酒でも飲ませてみるかな…いや、理性があるリンネを苛めた方が楽しいか…」 などと馬鹿なことを呟いたが、不運な事になのかそれとも幸いな事になのか。 リンネがその言葉を聞くことはなかった。 二人の魔界見学ツアーはまだまだ続く。 終 |
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